xAIは、大規模言語モデル「Grok 4 Fast」を期間限定でOpenRouterおよびVercel AI Gatewayで無料提供すると発表した。あわせてxAIの公式APIでも一般提供を開始し、価格は入力トークン100万あたり$0.20、出力トークン100万あたり$0.50から。開発者はコストを抑えた試用と迅速なプロトタイピングが可能になる。
発表の概要
期間限定の無料提供
Grok 4 Fastは、OpenRouterとVercel AI Gatewayを通じて一定期間無料で利用できる。既存のAI実装にこれらのゲートウェイを使っている開発者は、そのままルーティング先としてGrok 4 Fastを追加し、モデル評価やA/Bテストを迅速に始められる。
xAI APIでの一般提供と価格
xAIの公式APIでもGrok 4 Fastが一般提供（GA）となり、料金は入力トークン100万あたり$0.20、出力トークン100万あたり$0.50。入出力で単価が異なるため、ワークロードの特性（プロンプトの長さと出力の長さ）に応じたコスト最適化がしやすい。
開発者にとっての意味
試用とプロトタイピングが容易に
無料期間を活用すれば、既存アプリに組み込む前段階の検証（品質評価、プロンプト設計、ガードレール確認）をほぼノーコストで進められる。導入判断の材料を短期間で集め、将来の本番運用に向けて技術的・費用的な見通しを立てやすい。
コストの目安と試算例
価格は「入力」「出力」で別々にカウントされる。たとえば、入力100万トークンで$0.20、出力100万トークンで$0.50が目安となる。利用規模に応じた概算を事前に試算しておくと、スケール時の費用管理がしやすい。
- 例1：入力200万（$0.40）＋出力50万（$0.25）＝合計$0.65
- 例2：入力1,000万（$2.00）＋出力100万（$0.50）＝合計$2.50
導入時のポイント
OpenRouter/Vercelを経由する利点
OpenRouterやVercel AI Gatewayを使うと、複数モデルの切り替え、トラフィックのルーティング、メトリクス可視化、キー管理を一元化しやすい。既存の観測基盤やレート制御と組み合わせることで、初期導入の手離れがよくなる。
注意点と制限
無料提供は期間限定であり、プロバイダーごとに利用上限やレート制限、商用利用ポリシーが異なる可能性がある。検証から本番移行までの間に、料金体系・利用規約・データ取り扱い（ログ保管やPIIの扱い）を必ず確認しておきたい。
総括
導入のチェックリスト
本格導入に先立ち、下記の観点を洗い出しておくと、トラブルなくスケールしやすい。
- 主要ユースケースと必要な応答品質（精度・レイテンシ・安定性）
- 月間の想定トークン量（入力/出力の比率）と予算枠
- プロンプト/システムプロンプト設計とガードレール
- レート制御、監視、監査ログの方針
- 無料期間終了後の料金・契約と切り替え計画
まとめ
Grok 4 Fastの期間限定無料提供と低単価の一般提供は、評価・検証から本番導入までのハードルを大きく下げる好機だ。開発者は無料期間中に品質とコストの両面を見極め、必要な運用体制を整えた上でスムーズに移行するとよい。
