Googleは、マルチモーダルAI「Gemini 3 Flash」に新機能「Agentic Vision(エージェンティック・ビジョン)」を搭載すると発表しました。画像や映像を“ただ認識するだけ”のAIから、「見て、考え、必要に応じてコードを実行して動くAI」へ進化させる取り組みとして注目されています。
Agentic Visionとは何か
静的な画像認識から「行動する視覚AI」へ
Agentic Visionは、「画像を一度見て答えるだけ」の従来型画像認識とは異なり、状況に応じて追加の情報を取りに行ったり、コードを実行したりしながら、連続的に判断・行動できるようにする技術コンセプトです。これにより、単純な“ラベル付け”や“説明”を超えて、問題解決やタスク完遂までサポートできることが狙いとされています。
視覚推論とコード実行の組み合わせ
Googleが重視しているのは、「視覚推論」と「コード実行」を組み合わせる点です。画像や動画から状況を理解し、その理解に基づいてプログラムコードを生成・実行することで、より正確な計算やデータ処理、外部ツールとの連携が可能になります。例えば、グラフ画像から正確な数値を読み取り、コードで再計算するといった処理も自動化できるようになります。
Gemini 3 Flashにおける初期ツールとして提供
Agentic Visionは、まずは軽量かつ高速なモデルである「Gemini 3 Flash」でサポートされる最初のツール群の一つとして導入されます。Flashシリーズはレスポンスの速さとコスト効率を重視したモデルであり、そこにAgentic Visionが組み合わさることで、リアルタイム性が求められる現場でも「見て即座に動く」AI体験を提供しやすくなると期待されています。
期待される活用シーンとメリット
日常の画像から実用的なアクションへつなげる
Agentic Visionが実現するのは、「見た情報をすぐに行動へ落とし込む」使い方です。例えば、ホワイトボードの写真から議事録とタスクの一覧を自動生成したり、レシピ本の写真から買い物リストやカロリー計算を行ったりといったことが想定されます。視覚情報が、その場で使える“具体的なアウトプット”に変換されていくイメージです。
業務の自動化・効率化へのインパクト
ビジネスの現場では、紙の帳票、PDF、スクリーンショットといった「画像になった情報」が大量に存在します。Agentic Visionとコード実行を組み合わせれば、こうした非構造データから必要な情報を抽出し、社内システム向けのデータ形式に変換して登録する、といったワークフローの自動化が進む可能性があります。単なるOCRを超えた、「理解してから動くAI」としての活用が広がりそうです。
開発者・サービス提供者にとっての価値
開発者にとっては、画像理解とコード実行が統合されたことで、「視覚インターフェース付きの自律エージェント」を比較的容易に構築できる点が大きな利点になります。従来は、画像処理とアプリロジックを別々に設計する必要がありましたが、Agentic Visionを活用することで、一つのモデルに「見る・考える・動く」を任せた設計がしやすくなります。
課題と今後の展望
信頼性・安全性の確保が鍵に
AIが画像をもとに自律的に行動するようになるほど、誤認識や誤判断が引き起こすリスクも増します。特に、コード実行を伴う場合は、誤ったデータ処理や外部システムへの影響など、安全性への配慮が欠かせません。Googleはこれまでも安全性やガバナンスの重要性を強調しており、Agentic Visionでも同様に、利用範囲の制御や検証プロセスが求められると考えられます。
他のマルチモーダルAIとの競争と差別化
マルチモーダルAIは、すでに多くの企業が開発・提供を進めている分野です。その中で、Googleは「視覚推論+コード実行」という組み合わせを前面に出すことで、単なる画像チャットを超えた“エージェント指向”の差別化を図ろうとしています。今後、他社モデルとの比較や、どの程度現実的な業務シナリオで使えるのかが、技術の評価ポイントになっていきそうです。
まとめ
Agentic Visionは、Gemini 3 Flashに「見て、考えて、コードを通じて動く」という新たな能力をもたらし、画像理解の枠を大きく広げようとする試みです。実際のプロダクトやサービスにどのような形で組み込まれていくのかはこれからですが、画像や動画がより直接的に“行動可能な情報”へ変換される未来に向けた重要な一歩と言えるでしょう。



