GMOAIRは、同社のロボット人材派遣型サービスにUBTECH Robotics(ユービーテック)のヒューマノイドロボット「Walker E(ウォーカー・イー)」を新たに追加すると発表しました。人手不足が深刻化する中、実証実験にとどまらない現場実装を見据え、ヒューマノイドの活用領域拡大に弾みがつきそうです。
発表の概要
今回の追加により、GMOAIRのロボット派遣ラインアップに二足歩行型のヒューマノイドが加わります。案件ごとに最適なロボットとオペレーション人材を組み合わせる同社の提供モデルに、汎用性の高いヒューマノイドが組み込まれることで、受付・案内から簡易作業補助まで、現場の自動化余地が広がる見込みです。
何が変わるのか
ロボット人材派遣にヒューマノイドが加わることで、これまで自走搬送機やアームロボットだけでは対応が難しかった「人と同じ空間・動線での対話や複合タスク」を柔軟に担える可能性が高まります。
例えば、来訪者対応、誘導、簡易な物品搬送、定型点検の一部など、人のコミュニケーションや空間認識が必要な役割での実運用が現実味を帯びます。派遣モデルで導入ハードルを下げ、短期トライアルからスケールへとつなげやすくなる点も企業にとっての利点です。
「Walker E」とは
UBTECHの「Walker E」は、同社のWalkerシリーズに位置づけられる二足歩行型ヒューマノイドで、対話・移動・作業補助などの用途を想定したプラットフォームです。
詳細仕様や提供形態は案件により異なるものの、一般的にヒューマノイドならではの人間に近い形状・動作、センサー群による環境認識、遠隔操作と一部自律動作の両立といった特性を活かし、実証から実運用への橋渡し役として期待されています。
想定される活用シーン
人とのインタラクションや複合タスクが求められる場面で、ヒューマノイドの強みが生きます。
- 企業受付・施設案内・イベント誘導などのフロント業務
- 商業施設・オフィス・工場における見回りや簡易点検の補助
- 軽量物の搬送や在庫棚出し補助などの定型作業支援
- 教育・研修、ショールームでのデモンストレーション
- 研究開発用途での人間-ロボット協働の検証プラットフォーム
導入のポイント
効果を最大化するには、目的の明確化と現場適合性の見極めが鍵になります。
- 業務の切り出し範囲を明確化(接客・搬送・点検などの具体タスク)
- 短期PoC(実証)でKPIを設計し、運用リスクと効果を早期検証
- 安全要件(転倒・接触・避難動線)と人との共存設計を徹底
- 遠隔監視・手当て体制やメンテナンスのワークフローを整備
- 費用対効果(稼働時間、代替・補完効果、付加価値)を定量化
- データ取り扱い(映像・音声・ログ)とセキュリティのルール化
市場背景
人手不足の長期化とサービス品質の維持・向上ニーズにより、現場では「ロボット×人」の協働設計が求められています。
これまでモバイルロボットやロボットアームが先行してきましたが、対人・対環境の柔軟性が高いヒューマノイドの実装が次のテーマになりつつあります。派遣モデルは初期投資を抑えながら試行・拡張でき、導入の心理的・経済的ハードルを下げる手段として注目されます。
今後の展望
「Walker E」の追加は、ヒューマノイドの用途探索を一段と前進させるトリガーになり得ます。今後は、受付・案内などのフロント領域から、軽作業や点検補助へと活用が広がり、KPI設計や安全運用の知見が蓄積されることで、実運用のスケールが加速するでしょう。企業側は小さく試し大きく育てるアプローチで、適材適所のロボット活用を進めることが肝要です。




