対話型AI「ChatGPT」上で、フィットネスのPeloton(ペロトン)、旅行口コミサイトのTripadvisor(トリップアドバイザー)、米小売大手Target(ターゲット)といった公式アプリが利用可能になった。ユーザーはチャットの対話感覚のまま、ワークアウト提案や旅行プランニング、商品探しなどを一気通貫で行えるようになる。
ChatGPTに公式アプリが登場:何が変わるのか
Pelotonアプリ:AIがパーソナルトレーナーに近づく
Pelotonは、オンライン配信のフィットネスクラスで知られるサービスだ。ChatGPT上のPelotonアプリを使うことで、ユーザーは「30分でできる脂肪燃焼バイクメニューを教えて」「初心者向けのヨガクラスを提案して」といった自然な日本語/英語の指示だけで、自分のレベルや目的に合ったワークアウト候補をAI経由で受け取れるようになるとみられる。
従来はPelotonアプリやウェブサイトを開き、カテゴリーや時間帯を自分でフィルターしてクラスを選ぶ必要があったが、ChatGPT上での対話により、「目的を伝えるだけで提案が返ってくる」体験へと変化する可能性がある。
Tripadvisorアプリ:会話しながら旅行プランを作成
旅行情報と口コミで世界的に利用されているTripadvisorも、ChatGPT上のアプリとして利用可能になった。ユーザーは「3泊4日でロサンゼルスを観光したい」「家族連れに人気のホテルを教えて」「評価が高くてコスパの良いレストランは?」といった質問を投げかけることで、Tripadvisorが蓄積する膨大な口コミ・評価データにアクセスしながら、AIが旅行プラン作りをサポートする形が想定される。
時間や予算、同行者(家族旅行・カップル・一人旅など)を会話の中で伝えていくと、AIが順次おすすめスポットやモデルコースを提示し、従来の「検索と比較」を繰り返す手間を減らせる点が魅力だ。
Targetアプリ:チャットで商品探しから購入検討まで
米国の大型小売チェーンTargetのアプリもChatGPT上で利用可能になった。ユーザーは「子どもの誕生日プレゼントで予算50ドル以内」「大学入学に必要な生活用品リストを作って」「ホームオフィス向けのデスクとチェアを探して」など、ニーズを自然な言葉で伝えるだけで、Targetの豊富な商品群から候補を出してもらえるようになるとみられる。
これにより、ECサイトの検索欄にキーワードを何度も入力して絞り込む必要が薄れ、「相談しながら最適な商品を一緒に考えてくれるショッピングアシスタント」としてChatGPTを活用できる可能性が広がる。
連携がもたらすユーザー体験の変化
「検索」から「対話」中心の体験へシフト
Peloton、Tripadvisor、Targetといった人気サービスがChatGPTにアプリとして登場したことで、ユーザー体験は「自分で探す」から「AIとの対話を通じて見つける」スタイルへと大きく変わりつつある。複数のアプリやタブを行き来することなく、ChatGPT上のひとつの会話の中で、運動・旅行・買い物など生活に関わるさまざまな意思決定を完結できる可能性が高まった。
例えば、「ダイエットを始めたい」と相談すれば、Pelotonアプリで運動プランを作り、Tripadvisorでご褒美旅行の候補地を探し、Targetで必要なトレーニンググッズを選ぶ、といった流れを、すべてチャットの中でシームレスに行う使い方も考えられる。
企業側のメリット:新規顧客との接点拡大
サービス提供側にとっても、ChatGPT上のアプリ展開は新たな顧客接点となる。従来、自社サイトやモバイルアプリに直接訪れなかったユーザーでも、「AIに相談した流れでPelotonのクラスを知る」「Tripadvisor経由で知らなかった観光地を発見する」「Targetの取り扱いブランドに初めて触れる」といった機会が増える可能性がある。
また、対話ベースでユーザーのニーズを細かく把握できるため、より精度の高いレコメンデーションや、パーソナライズされた提案につなげられる点も大きな利点と言える。
利用時に意識しておきたいポイント
一方で、ChatGPT上でのアプリ利用は、各サービス側の最新データや在庫状況、料金などとどの程度リアルタイムに同期しているかが重要になる。AIの回答を参考にしつつも、最終的な予約や購入前には、公式画面で詳細を確認するなど、ユーザー自身のチェックも欠かせない。
プライバシー面でも、どの情報がどのサービスと共有されるのか、利用規約や設定を確認しながら活用することが求められるだろう。
生成AIと生活サービスの連携が進むこれから
日常の「相談窓口」としてのChatGPT
今回のPeloton、Tripadvisor、Targetのように、実際の行動や消費につながるサービスがChatGPTと結びつくことで、生成AIは単なる「情報検索ツール」から、生活全般の相談窓口へと役割を広げつつある。ユーザーは目的や悩みを言語化するだけで、AIが複数サービスを横断的に活用して選択肢を提示してくれる未来が近づいている。
今後、銀行・保険・公共交通・教育といった分野でも同様の連携が進めば、ローンの比較や保険選び、通勤ルートの最適化、学習計画の立案など、より幅広い意思決定をチャットひとつでこなせるようになるかもしれない。
まとめ
ChatGPT上でPeloton、Tripadvisor、Targetといった著名サービスがアプリとして利用できるようになったことで、ユーザーはチャットベースでフィットネス、旅行、ショッピングをスムーズに行える環境が整いつつある。対話を入り口に、複数のサービスをまたいで最適な選択肢を提案してもらえる体験は、今後のデジタルライフの標準形となる可能性が高い。生活のさまざまなシーンで、AIと外部サービスの組み合わせをどう活用するかが、これからの賢いサービスの使い方の鍵になりそうだ。




