AIスタートアップのAnthropic(アンソロピック)は、PC上での自動操作技術を持つVercept(ヴァーセプト)を買収したと発表しました。これにより、対話型AI「Claude(クロード)」が、今後さらに高度なコンピューター操作を代行できるようになると見込まれています。
AnthropicによるVercept買収の概要
買収の狙い:Claudeの「コンピューター利用」能力を強化
Anthropicは、テキストで指示するだけでPC操作を自動化する「コンピューター利用(computer use)」機能の開発を進めています。今回のVercept買収は、この領域を一気に加速させることが目的とされています。単なる文章生成にとどまらず、アプリの操作やファイル管理、設定変更までAIが代行する世界観に近づく一歩です。
Verceptとはどのような企業か
Verceptは、ユーザーインターフェースの認識やクリック、入力といった操作を自動化する技術を持つ企業として知られています。画面上のボタンやメニューをAIが理解し、人間の代わりに手続きを進めるといったユースケースに強みがあり、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と生成AIの中間を担うようなポジションの技術です。
Claudeとのシナジー:対話×自動操作の組み合わせ
Claudeは自然な対話や高度なテキスト理解を得意とする一方、実際のPC操作は別の仕組みが必要でした。Verceptの技術を取り込むことで、「メールのドラフトを作って送信までして」「このスプレッドシートを整理してレポートを作って」など、指示から実行までを一気通貫で任せられるようになる可能性があります。
強化されると期待されるClaudeの活用シーン
オフィス業務の自動化と効率化
文書作成やメール対応、データ整理といった知的労働の多くは、アプリ間のコピーペーストや同じ操作の繰り返しに時間を取られています。コンピューター利用機能を備えたClaudeであれば、ユーザーはやりたい成果物を自然言語で伝えるだけで、必要な資料の検索、アプリの起動、データ入力、ファイル保存までを自動で行うことが期待されています。
専門職でのサポート:分析ツールや業務ソフトの操作代行
財務、マーケティング、開発などの現場では、複雑な業務ソフトや分析ツールを日常的に扱います。将来的には、「この月次データを読み込んで、異常値を検出し、グラフ付きでまとめて」といった指示をClaudeに出すだけで、関連ソフトの操作からレポート作成まで任せられる可能性があります。これにより、ツールの操作に不慣れな人でも、AIを通じて高度な分析環境を活用できるようになるかもしれません。
個人ユーザーの日常タスク支援
ビジネス用途だけでなく、個人のPC利用も変わる可能性があります。たとえば、「旅行の予約情報をメールから探してカレンダーに登録して」「撮りためた写真を日付ごとにフォルダ分けしてバックアップして」など、これまで手作業で行っていた細かなPC作業を、Claudeが裏側で自動処理する世界が見えてきます。
安全性・信頼性への期待と課題
コンピューター操作AIに求められるガードレール
AIがPCを自由に操作できるようになるほど、誤操作や悪用のリスクも高まります。重要ファイルの削除、誤送信、誤った情報の入力などを防ぐためには、実行前の確認や、アクセス権限の制限、操作ログの記録といった強固な安全設計が欠かせません。Anthropicは、安全性を重視したAI開発で知られており、Verceptの技術統合でも同様の方針が適用されるかが注目されます。
人間との役割分担:AIに任せる部分と判断すべき部分
ClaudeがPC操作を肩代わりできるようになっても、最終的な意思決定や責任は人間側にあります。特に承認が必要な手続きや、法務・コンプライアンスに関わる処理などは、人間によるチェックを前提としたワークフロー設計が重要になります。AIにどこまで任せ、どこからを人間が判断するのか、企業や個人がルールづくりを考えるタイミングが近づいていると言えるでしょう。
まとめ
AnthropicによるVerceptの買収は、対話型AI「Claude」が「話せるAI」から「実際にPCを動かせるAI」へと進化していく大きな節目となりそうです。今後、オフィスワークから個人利用まで、幅広い場面でPC操作の自動化が進む一方、安全性やガバナンスの設計も同時に問われます。具体的な機能提供や利用事例が明らかになるにつれ、私たちの働き方・PCとの付き合い方がどのように変わっていくのか、継続的なフォローが必要なトピックです。






