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百度「ERNIE 5.0」搭載AIエージェント、絵本を“聞いて楽しむ”新しい読み聞かせ体験を提供

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文字を追うのが難しい子どもでも、絵本の世界をあきらめなくていい――。中国・百度(バイドゥ)の大規模AI「ERNIE 5.0」の能力を活用した新しいAIエージェントが、出版社 Dolphin Books と連携し、絵本の色や場面を豊かな音声表現へと変換する取り組みが始まっています。

目次

新しい絵本体験の概要

ERNIE 5.0とDolphin Booksの協業とは

百度が開発した最新世代のAI「ERNIE 5.0」は、テキストだけでなく画像や音声など、複数の情報を統合して理解できる「オムニモーダル(多モード)」なモデルです。この技術を基盤に、出版社 Dolphin Books と協力して、絵本向けの専用AIエージェントが開発されています。

このエージェントは、ページに描かれた色彩やシーンを読み取り、それらを子ども向けの表現豊かな音声へと変換します。従来の単調な読み上げとは異なり、「見て・聞いて」楽しめる新しい絵本体験を目指しています。

「オムニモーダル能力」とは何か

オムニモーダル能力とは、文字情報だけではなく、画像・音声・映像などさまざまな形式のデータをまとめて理解し、相互に変換できるAIの特性を指します。ERNIE 5.0 は絵本のページに含まれる要素を総合的に解釈し、「どんな色が使われているか」「どのような場面か」といった情報を把握します。

その上で、色や登場人物、背景の雰囲気に合わせて、声のトーンや話し方を変化させながら音声を生成することで、まるでその場にいるかのような没入感のある読み聞かせを実現します。

子どもの読書体験をどう変えるのか

一人で読むのが難しい子どもをサポート

今回のAIエージェントは、とくに「自力で読むのが難しい子ども」を支えることを目的に設計されています。視覚的なつまずきがある子ども、文字を追うのが苦手な子ども、あるいはまだ文字に十分慣れていない幼い子どもでも、耳から物語を楽しめるようになります。

これにより、読み聞かせの機会が限られている家庭や、教室で教員一人が全員を個別対応することが難しい場面でも、子どもが自分のペースで絵本の世界に親しめる環境づくりが期待されます。

色や情景を「音」で伝える工夫

このエージェントの特徴は、単に文字を読み上げるだけでなく、「色」や「情景」を音として表現しようとする点にあります。たとえば、明るい黄色のページであれば、元気で軽やかな声やBGMを用いる、夜の場面であれば、落ち着いたトーンで静かに語りかける――といった具合に、視覚的な印象を音の雰囲気に反映させます。

こうした工夫は、視覚情報にアクセスしづらい子どもにとって、とくに大きな意味を持ちます。画面を見なくても、音声だけで物語の流れや場面転換をイメージしやすくなるためです。

家庭と教育現場での活用イメージ

家庭では、保護者がそばにいられない時間帯でも、子どもが一人で絵本を「聞いて」楽しむためのパートナーとして機能することが想定されています。また、保護者が読み聞かせをする際の補助役として、難しい言葉の説明や、場面に合った効果音を自動で足すことも可能になるかもしれません。

教育現場では、読みの習熟度が異なる児童を同時に支援するツールとしての活用が考えられます。特別支援教育の場面では、一人ひとりに合ったスピードや声の高さに調整することで、よりきめ細やかな学習支援につながるポテンシャルがあります。

AIと児童書のこれから

コンテンツ側の変化と新たな表現の可能性

AIエージェントの登場は、絵本そのものの作り方にも影響を与える可能性があります。たとえば、色や構図が音声表現と連動することを前提に、「このページはあえて色数をしぼって静けさを出す」「ここでは大胆な色づかいでクライマックスを強調する」といった設計が進むかもしれません。

また、作家やイラストレーターがAIと協働し、物語の進行に合わせて自動的にナレーションや効果音が生成される「半分オーディオブック」のような新ジャンルが生まれる可能性もあります。

アクセシビリティ向上とデジタル格差への配慮

視覚障害や読字障害のある子ども、学習言語がまだ十分に定着していない子どもにとって、こうしたAIによる読み聞かせは、読書への入口を広げる重要な手段となりえます。一方で、インターネット環境やデジタル端末へのアクセスが限られている家庭・地域では、こうした恩恵を受けにくいという課題も残ります。

今後は、紙の絵本とAIエージェントをどう組み合わせるか、図書館や学校がどのように環境整備を進めるかが、子どもたちの学びと楽しみの機会均等に直結していきそうです。

まとめ

ERNIE 5.0 のオムニモーダル能力を活用した今回のAIエージェントは、絵本の「色」と「場面」を豊かな音声表現へと変換し、読むことに困難を抱える子どもでも物語を楽しめる新しい読み聞かせ体験を提示しました。今後、家庭や学校、図書館などでの導入が進めば、子どもたちの読書体験は「目で読む」だけでなく「耳で感じる」ものへと広がっていくかもしれません。

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この記事を書いた人

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