中国のバイドゥ（Baidu、NASDAQ: BIDU）は2025年第3四半期（Q3）の報告を公表し、企業横断のAIイノベーションの価値をより正確に反映するための新たな「AIネイティブ・ビュー（AI-native view）」を導入した。これにより、AIを活用した事業群の売上は約100億元（RMB 10B）に達し、前年同期比で50％超の増加となったことが明らかになった。
概要
新たな「AIネイティブ・ビュー」の導入
バイドゥは、全社にわたるAI関連の取り組みを一体として評価するために、報告の枠組みをアップデート。従来の事業区分では捉えにくかったAIによる価値創出を可視化し、投資家・市場に対してAIの収益貢献を明確に示す狙いがある。
AI事業の売上規模と成長率
同社の発表によると、AIを活用した事業群による売上は約100億元に達し、前年同期比で50％を上回る成長を記録した。内訳の詳細は示されていないものの、AI技術の横展開が収益基盤の拡大に寄与していることが示唆される。
背景と狙い
企業横断のAI投資を可視化
AIは検索や広告、クラウド、各種サービスなど複数の事業領域にまたがって価値を生む。新たなビューは、こうした横断的な投資と成果を一つのレンズで捉えるための試みであり、AIがもたらす収益・コスト効率・ユーザー体験の改善を総合的に示す枠組みとなる。
投資家への示唆と評価軸の変化
AIネイティブ・ビューの導入は、バイドゥがAIを主要な成長ドライバーとして位置づける姿勢を明確化する。従来のセグメント別評価に加え、AIによる価値創出を横串で把握することで、投資家は成長の質や持続性をより精密に評価できるようになる。
事業インパクトと波及
収益源の見通しと注目点
AIネイティブな収益は、一般に複数の領域で生まれる。今回の枠組みは、それらを包括的に捉える意図があるとみられる。
- AIによる既存プロダクトの高度化（検索・広告の最適化、レコメンド精度向上など）
- 企業向けAIソリューションやプラットフォーム提供によるSaaS/クラウド型収益
- 生成AI機能を核にした新サービスの創出とユーザー囲い込み
成長の持続性とリスク
AI主導の成長は高いポテンシャルを持つ一方、マクロ環境、規制動向、競争激化、モデル運用コストや収益化の速度などの不確実性も内包する。新たな開示枠組みは、これらのリスクとリターンを継続的に検証するための基盤になりうる。
結論と示唆
今後の展望
バイドゥの「AIネイティブ・ビュー」は、AIが全社の中核に据えられつつあることを明確に示した。今後は、AI関連売上の継続的な伸長に加え、収益性やユースケースの広がり、指標の一層の透明性が注目点となる。投資家にとっては、AIによる付加価値の質と再現性、そして事業全体への波及速度を見極めることがカギになる。
