今週、スイス東部でオンデマンド自動運転モビリティ「AmiGo」がお披露目された。スイスの公共交通を担うPostBusと、中国Baiduの自動運転プラットフォーム「Apollo Go」による提携プロジェクトで、よりスマートでつながる移動の実現に向けた一歩となる。
概要と背景
「AmiGo」とは—PostBusとBaidu Apollo Goの協業
「AmiGo」は、利用者の需要に応じて運行するオンデマンド型の自動運転モビリティサービス。PostBusが運行面を担い、Baiduの「Apollo Go」が自動運転技術の基盤を提供する。今回の発表では、サービスを支える自動運転車両が正式に公開された。
スイス東部で車両を公開、その意義
スイス東部での車両公開は、地域の移動課題に対する新しい解決策の提示を意味する。オンデマンドと自動運転を組み合わせることで、過疎地や時間帯による運行効率のばらつきを補完し、公共交通の利便性を高める可能性がある。
サービスの中身と期待される効果
オンデマンド型モビリティの仕組み
オンデマンド型は、固定ダイヤや固定ルートに縛られず、利用者のリクエストに合わせて最適な経路で車両を配車するのが特長。待ち時間や乗り換えの負担を減らし、端末からの簡単な操作で移動を完結できるため、日常の足から観光まで幅広い用途に適する。
想定される利用シーン
AmiGoは、特に公共交通の“ラストワンマイル”補完に効果が見込まれる。以下のような場面での活用が考えられる。
- 駅・バスターミナルから住宅地や観光スポットまでの短距離移動
- 早朝・深夜など既存ダイヤの空白時間帯の移動
- 高齢者や子どもの送迎など、ドアツードアに近いニーズ
地域交通・観光への波及効果
利便性の高い“呼べる移動”は、地域内移動の活性化と来訪者の回遊性向上につながる。交通混雑や運行コストの平準化にも寄与する可能性がある。
- 住民の移動手段の選択肢拡大と生活圏の拡張
- 観光ルートの多様化による滞在価値の向上
- 需要に応じた運行で、空気輸送の削減と効率化
実装に向けた課題と展望
安全性と規制への対応
公共空間を走る自動運転には、法規制の整備、運行管理、緊急時対応など多面的な要件が伴う。段階的な実証とデータに基づく安全検証が鍵を握る。
- 走行環境に応じたリスク評価と監視体制の構築
- 地域住民・利用者への周知と受容性の醸成
- 既存公共交通とのダイヤ・運賃連携の最適化
技術基盤「Apollo Go」の存在感
Apollo Goは、中国におけるロボタクシー運行で知られる自動運転プラットフォーム。国や地域が変われば道路環境やルールも異なるが、蓄積された知見をスイスの運行要件に適合させられるかが注目点となる。
今後の展望
今回の車両公開は本格運行への助走であり、今後は実証の範囲拡大やサービス設計の具体化が進む見込みだ。利用者体験と安全性の両立を軸に、地域の課題解決に資するスケールモデルを築けるか、AmiGoの次の一手に注目したい。




