グーグルは今週、画像・動画・音楽生成モデルから教育現場向けのAIリテラシー支援、スマートフォンの新機能まで、クリエイティブと日常生活を支えるAIアップデートを一挙に発表しました。本記事では、そのポイントを分かりやすく整理し、クリエイターや教育関係者、一般ユーザーそれぞれにどんな価値があるのかを解説します。
最新生成AIモデルとテンプレートの進化
Nano Banana 2:現実世界に強い画像生成モデル
新たに発表された画像生成モデル「Nano Banana 2」は、現実世界の知識を踏まえた画像生成に対応し、多言語でテキストを埋め込めるのが特徴です。単なる「それっぽい」画像ではなく、実在の概念や文脈を反映したビジュアルを作りやすくなります。
例えば、特定の都市のランドマークを含むポスターや、専門用語を盛り込んだインフォグラフィックなど、情報性の高いビジュアル制作に活用できます。日本語を含む多言語テキストを画像内に自然に配置できる点も、マーケティング資料やSNS用画像の作成にとって大きな利点です。
Geminiアプリに追加された画像・動画・音楽テンプレート
スマホやPCから手軽に生成AIを使える「Geminiアプリ」には、新たに Nano Banana、Veo 3.1、Lyria 3 のテンプレートが追加されました。これにより、専門知識がなくても画像・動画・音楽トラックを簡単に作成できます。
Veo 3.1は動画生成に、Lyria 3は音楽生成に特化したモデルとされ、ショート動画のBGMや簡易なイメージビデオ、SNS投稿用のビジュアルコンテンツなど、個人クリエイターから企業の広報担当まで幅広く利用シーンが想定されます。テンプレート化により、「どこから手を付ければいいか分からない」というハードルも下がりそうです。
Flow by Google:AIクリエイティブスタジオへ大幅刷新
クリエイティブ作業を支援するツール「Flow by Google」も大きなデザイン刷新が行われ、将来的に「AIクリエイティブスタジオ」を目指す方向性が明確になりました。UIの改善により、画像・動画・音楽など複数のメディアをまたいだ制作フローを、ひとつの環境で完結しやすくする狙いがあります。
アイデア出しからラフ制作、ブラッシュアップまでをAIと協働できるようになれば、制作スピードの向上だけでなく、「試行錯誤の量」を増やせるのが大きなメリットです。少人数のチームや個人でも、より本格的なクリエイティブに挑戦しやすくなるでしょう。
AIエージェントと音楽制作ツールの拡充
Opal:静的なワークフローを対話的な体験へ
Google Labsが提供する「Opal」では、新たな「エージェントステップ」が導入されました。これにより、これまで単に順番に処理するだけだった静的なワークフローを、ユーザーとの対話を挟みながら進行するインタラクティブな体験へと変換できます。
例えば、申請フォームのチェックフローや、コンテンツ制作のレビュー工程などで、AIが途中経過を確認しながらユーザーに質問したり提案したりすることで、より柔軟でミスの少ないプロセス設計が可能になります。ノーコード/ローコードで業務フローを作っている担当者にとって、実務に直結するアップデートと言えそうです。
Producer.ai:音楽制作パートナーがGoogle Labsに正式参加
音楽制作を支援するAI「producer_ai」が、正式にGoogle Labsの一員となりました。テキストによる指示や簡単な設定から、楽曲アイデアの生成やアレンジの提案、トラックの下地作りなどをサポートする“音楽制作パートナー”として位置づけられています。
これにより、作曲経験の少ないユーザーでも、AIを相棒にしながらデモ音源の制作やBGM作りに挑戦しやすくなります。一方で、プロのクリエイターにとっても、アイデアスケッチやバリエーション出しを高速化する補助ツールとして活用できる可能性があります。
教育と日常生活を支えるAIリテラシー・セキュリティ強化
米国の600万超の教員向けにGeminiトレーニングを提供
AIリテラシー向上の取り組みとして、グーグルは米国のK-12(初等・中等教育)および高等教育機関の教員、合計600万人以上を対象に、Geminiのトレーニングを提供すると発表しました。教育現場でAIを安全かつ効果的に活用してもらうことが目的です。
教材作成の効率化、個別学習の支援、教育コンテンツの翻訳など、AIの活用方法は多岐にわたりますが、その一方で情報の正確性や著作権への配慮も不可欠です。教員向けの体系的なトレーニングを整えることで、生徒に対しても「AIとの付き合い方」を教えられる環境づくりが期待されます。
Galaxy S26向けオンデバイスAI:詐欺検知や日常タスクの自動化
スマートフォン領域では、サムスンの新フラッグシップ「Galaxy S26」シリーズ向けに、オンデバイスAIの新機能が発表されました。クラウドに頼らず端末内で動作するAIにより、個人情報保護とリアルタイム性の両立を図ります。
発表によると、これらの機能は詐欺の可能性がある通信やメッセージの検知、日常的な雑務のGeminiへのオフロード(AIへの任せ替え)などをサポートします。具体的には、不審な電話やSMSの内容をAIが解析して警告したり、予定調整やリマインド、要約タスクなどを自動化することで、利用者の負担軽減が期待されます。
まとめ
今回の一連の発表は、グーグルが「クリエイティブ」「業務フロー」「教育」「日常生活」の4つの領域でAI活用を一段と押し広げようとしていることを示しています。高度な画像・動画・音楽生成モデルを一般ユーザーにも使いやすい形で提供しつつ、教育現場やスマートフォンでの安全な活用にも配慮している点が特徴です。
今後は、これらのツールが日本を含む各地域でどのように展開されるか、そしてクリエイターや教育機関、一般ユーザーがどのような使い方を見出していくのかが注目されます。新機能が公開された際には、自身の仕事や生活のどの部分をAIに任せると価値が高まりそうか、一度洗い出してみると良いかもしれません。






