中国の検索大手Baiduは、検索サービスに統合された生成AI「ERNIEアシスタント」をアップグレードし、画像や動画、音楽、ポッドキャストを含む8形式のマルチモーダル生成と、生活・教育・仕事の課題解決を支援する複数ツールへのワンクリックアクセスを打ち出した。検索体験を“探す”から“作る・解く”へ広げる大きな一歩だ。
発表の概要
アップグレードのポイント
新生ERNIEは、従来のテキスト出力に加え、8種類の形式での生成に対応。画像や動画、音楽、ポッドキャストなどの表現を横断し、検索結果からそのままコンテンツ作成やタスク解決へつなげられる設計が特徴だ。また、用途別に用意された複数のツールへワンクリックでアクセスでき、操作の手間を最小化する。
8形式のマルチモーダル生成とは
「マルチモーダル生成」は、テキスト以外のメディアも含めてAIがアウトプットを作ることを指す。Baiduは今回、以下のような形式を例示している。
- 画像
- 動画
- 音楽
- ポッドキャスト
- そのほか、複数のメディア形式(合計8形式)
Baidu検索との統合による体験
ERNIEはBaidu検索に統合され、検索からの自然な流れでコンテンツ生成や問題解決に移行できる。たとえば、仕事や学習テーマを検索した後、要点の要約、説明用の音声化、イメージ素材の生成などを連携ツールで素早く呼び出せる点が強みだ。
活用シーンとユーザーベネフィット
日常生活:調べるから、作って使うへ
日々の疑問を調べるだけでなく、買い物の比較ポイントのテンプレート、旅行計画のたたき台、家事の手順書のサンプル画像など、すぐに使える形での生成が見込める。形式の切り替えがワンクリックで済むため、完成形に近いアウトプットへ短時間で到達しやすい。
教育:多様な表現で理解を深める
要点のまとめテキストに加え、解説の音声化や学習用のクイズ生成、図解イメージの作成など、多角的に理解を促す素材作りを支援する。授業や自習のシーンで、学習スタイルに合わせたフォーマットを素早く用意できる点が利点だ。
仕事:資料作成とコミュニケーションを高速化
企画の要点整理、プレゼンの叩き台、ナレーション付きの短い説明音声やポッドキャスト風の案出しなど、アウトプット準備の初動を加速。検索とツールが一体化しているため、情報収集から試作までの往復コストが減る。
主なメリット
新生ERNIEの導入によって期待できる効果は次の通りだ。
- 形式の柔軟性:目的に応じてテキスト・画像・動画・音声などを横断して生成
- 操作の簡便さ:用途別ツールにワンクリックで到達し、作業の段取りを短縮
- 検索との連続性:情報探索からアウトプット作成までを一つの導線で実行
市場の位置づけと留意点
検索×生成AIの潮流
検索サービスに生成AIを深く組み込む動きは世界的に加速している。BaiduのERNIE強化は、検索体験を「答えを出す」「成果物を作る」方向へ進化させる潮流の一環であり、マルチモーダル対応の広がりが次の差別化ポイントになりそうだ。
品質と信頼性の確保
生成AIは便利な一方で、事実誤認や過剰な一般化が混ざるリスクを抱える。重要な判断や公開前の資料では、出力の検証と出典確認を徹底する運用が欠かせない。
著作権・プライバシーへの配慮
音楽やポッドキャストなどの生成では、権利処理や素材の扱いに慎重さが求められる。また、ツール連携時に入力するデータの取り扱いポリシーも確認し、機密情報の管理を徹底したい。
まとめ
Baiduのアップグレード版「ERNIEアシスタント」は、8形式のマルチモーダル生成とワンクリックのツール連携により、検索の価値を“情報取得”から“問題解決と成果物の生成”へ拡張する。今後は対応形式や連携ツールの充実、品質と安全性のバランスが利用体験を左右していくだろう。




