スイス東部で、自動運転のオンデマンド交通サービス「AmiGo(アミゴ)」の公道走行テストが始まりました。スイス郵便バス(Swiss PostBus)と、中国・百度系の自動運転サービス「Apollo Go」が共同で開発を進めており、実用化されれば欧州最大級の自動運転型公共交通プロジェクトになると期待されています。
スイス発「AmiGo」とは何か
オンデマンド型の自動運転ライドサービス
AmiGoは、スマートフォンなどから乗車を予約できるオンデマンド型の自動運転ライドサービスです。利用者は決められたルートのバスを待つのではなく、アプリを通じて必要なタイミングで乗車を呼び出すことができます。公共交通とタクシーの中間のような使い勝手を目指している点が特徴です。
Apollo GoとSwiss PostBusの共同プロジェクト
AmiGoは、中国で自動運転タクシーサービスを展開している「Apollo Go」の技術と、スイス国内で路線バス網を運営するSwiss PostBusの公共交通ノウハウを組み合わせたプロジェクトです。自動運転ソフトウェアやセンサー技術などをApollo Goが担当し、運行計画や地域との連携、実際の公共交通サービスとしての位置づけをSwiss PostBusが担うかたちで進められています。
現在の運行状況とレベル4特別許可
2024年6月からスイス東部で公道テストを開始
AmiGoは、2024年6月1日からスイス東部の公道でテスト走行を開始しました。これにより、実際の交通環境や道路状況の中で、自動運転システムの精度や安全性、運行オペレーションの検証が進められています。現時点では本格的な商用運行前の試験段階とみられますが、既に一般の車両と同じ道路を走行している点は大きな一歩と言えます。
連邦道路局がレベル4の特別許可を付与
このテストが可能になった背景には、スイス連邦道路局(FEDRO)がAmiGoに対してレベル4自動運転の特別許可を与えたことがあります。レベル4とは、一定条件下で人間の運転操作をほぼ必要としない高度な自動運転レベルを指します。限定されたエリアやシナリオでは、車両が自らの判断で走行を完結できることを意味しており、公共交通機関として導入するうえで重要なマイルストーンになっています。
2025年以降の本格運用と利用イメージ
専用アプリでライド予約が可能に
発表によると、来年以降、一般の乗客は「AmiGo」アプリを通じて乗車を予約できるようになる見通しです。出発地と目的地、希望時間などを指定すると、自動運転車両が最適ルートで迎えに来るような利用シナリオが想定されています。従来の時刻表ベースのバスとは異なり、利用者の需要に合わせて柔軟に走る「モビリティ・オン・デマンド」としての役割が期待されています。
欧州最大規模の自動運転公共交通プロジェクトへ
AmiGoは、計画段階としては欧州で最大級となる自動運転型の公共交通オペレーションになると見込まれています。台数の拡大や運行エリアの広がりにより、都市部だけでなく郊外や地方の「ラストワンマイル」を支える足としても機能する可能性があります。高齢化や運転手不足が課題となる日本を含む各国にとっても、その実証結果は大きな参考事例となり得ます。
住民にとってのメリットと課題
住民側のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- バスが少ない時間帯やエリアでも、柔軟に利用できる移動手段が増える
- 高齢者や車を持たない人でも移動の自由度が高まる
- 交通量の最適化による渋滞・排出ガスの削減が期待できる
一方で、安全性への信頼構築や、運賃設定、既存の公共交通との役割分担、地域住民への情報提供など、解決すべき課題も少なくありません。今回のスイスでの取り組みは、こうした利点と課題を実証的に検証する重要なケーススタディとなりそうです。
まとめ
スイス東部で始まったAmiGoの公道テストは、自動運転技術を公共交通に本格的に取り入れるうえで、欧州における先駆的な試みです。レベル4の特別許可を得て運行するオンデマンド型の自動運転ライドサービスは、交通利便性の向上だけでなく、持続可能な移動手段の構築にもつながる可能性があります。来年以降の本格運用が軌道に乗れば、他国の都市や地方が自動運転公共交通を導入する際の有力なモデルケースとなるでしょう。




