自動運転の商用化に向けた動きが、ついにロンドンでも本格化します。自動運転ロボタクシーを展開する「Apollo Go」と配車サービス大手ウーバー(Uber)が提携し、2026年にロンドンで自動運転車の試験サービスを開始する計画を明らかにしました。
ロンドンで始まる自動運転タクシー計画の概要
2026年前半から試験走行を開始予定
Apollo Goとウーバーは、2026年の前半からロンドンで自動運転車のテストを開始する予定です。まずは限定的なエリアや台数から始め、走行データと安全性の検証を進めながら、サービスの本格展開を目指すとみられます。
豊富な走行実績にもとづく都市展開
今回のロンドン進出の背景には、Apollo Goが積み重ねてきた膨大な自動運転データがあります。同社はすでに世界22都市でサービスや実証を行っており、自動運転モードでの累計走行距離は「数億キロ」規模に達していると説明しています。さらに、週あたり25万回以上の自動運転トリップ(乗車)をこなしており、現実世界での運用経験が強みとなっています。
ウーバーとの協業がもたらす利用者メリット
利用者側から見ると、従来のウーバーのアプリから、自動運転車を選択して配車できるようになる可能性があります。すでに構築済みのウーバーのユーザーベースと、Apollo Goの自動運転技術を組み合わせることで、次のようなメリットが期待されます。
- 運転手不足への対応や深夜・早朝時間帯の移動手段の確保
- 交通渋滞や事故リスクの軽減につながる運行最適化
- 長期的にはコスト削減による運賃の安定・低廉化の可能性
右ハンドル市場への本格参入と香港での知見
ロンドンは主要な右ハンドル市場への重要な一歩
ロンドンは、日本と同じく右ハンドル・左側通行の交通ルールを採用する大都市です。Apollo Goにとっては、右ハンドル圏での本格展開を進めるうえでの戦略的な拠点となります。複雑な交差点やロータリー、歴史的な狭い道路など、ロンドン特有の交通環境に対応できれば、同じ交通体系を持つ他の国・地域への横展開もしやすくなります。
香港でのテスト拡大で蓄積したノウハウ
Apollo Goは2024年末、香港で同市初となる自動運転テストの許可を取得し、以降テストエリアやシナリオを拡大してきました。香港も右ハンドル・左側通行の都市であり、山の多い地形や渋滞の激しい市街地など、ロンドンとは異なる難しさを持つ環境です。
この香港での経験は、右ハンドル市場向けのソフトウェア調整や、安全性評価の手法構築に大きく貢献したと考えられます。ロンドンでのパイロットは、その延長線上に位置づけられる取り組みと言えるでしょう。
利用者・都市にとってのインパクトと課題
ロンドン市民の移動体験はどう変わるか
実証が順調に進めば、ロンドン市民や観光客は、次のような新しい移動体験を享受できる可能性があります。
- アプリ上で「自動運転車」を指定して配車するオプション
- 運転手との会話を気にせず過ごせる「プライベート空間」としての車内
- 車内での仕事・読書・エンタメ視聴など、移動時間の有効活用
一方で、料金設定や運行エリア、深夜時間帯の安全対策といった具体的なサービス内容は、今後のテスト結果や規制当局との協議を経て固められていくことになります。
安全性・規制・受容性という三つのカギ
自動運転サービスの普及には、技術だけでなく次の3点が重要になります。
- 安全性:人間の運転より安全といえるレベルの事故率、トラブル時のフェイルセーフ設計
- 規制:ロンドン市や英国政府による自動運転車向けルール、保険や責任の枠組みづくり
- 受容性:「無人のクルマ」に乗ることへの心理的ハードルをどう下げるか
Apollo Goとウーバーは、これまで蓄積した走行データや運用ノウハウをもとに、自治体との連携や利用者への情報発信を通じて、これらの課題への対応を進めていくとみられます。
まとめ
Apollo Goとウーバーによるロンドンでの自動運転タクシー計画は、右ハンドル市場での本格展開と、都市交通の次世代モデルづくりに向けた重要な一歩です。2026年の試験開始までに、技術面・制度面の準備がどこまで進むのか、そして実際に市民の移動行動がどう変化していくのかが、大きな注目ポイントとなります。



