AI開発支援ツール「BLACKBOX CLI」に、新たに複数の大規模言語モデル(LLM)を自動的に使い分ける「/multi-agent」機能が追加された。GitHubリポジトリの用意なしで、Blackbox、Claude、Codex、Geminiなどのモデルをまとめて活用できるのが特徴で、データサイエンスやコーディング作業の効率化が期待される。
BLACKBOX CLI「/multi-agent」機能の概要
複数AIモデルをまとめて扱える新機能
今回公開された「/multi-agent」機能は、1つのコマンドラインインターフェース(CLI)から、Blackbox、Claude、Codex、Geminiといった複数のAIエージェントを同時に活用できる仕組みだ。従来はツールやモデルごとに設定や環境構築が必要になることが多かったが、この機能により、ユーザーはコマンドを実行するだけで複数モデルの知見を引き出せる。
Judge LLMが「最適なエージェント」を自動選択
「/multi-agent」の中核となるのが、評価専用のAI「Judge LLM(Sonnet 4.5)」だ。ユーザーがタスクを投げると、複数のエージェントがそれぞれ回答を生成し、Judge LLMが内容を比較・評価したうえで、もっとも適切と判断した回答を選び出す。これにより、ユーザーはモデルごとの細かな特性をすべて把握していなくても、高品質なアウトプットを得やすくなる。
GitHubリポジトリ不要で今すぐ使えるCLI
開発者向けのCLIツールでは、GitHubリポジトリとの連携や専用プロジェクトのセットアップが前提となるケースも多い。これに対してBLACKBOX CLIは、「/multi-agent」機能を含めて、リポジトリの準備を必要としないことを強調している。環境構築のハードルが低いため、試験的な利用や小規模なタスクでも導入しやすい点が特徴だ。
想定される活用シーンとユーザーへのメリット
データサイエンス業務での活用
ブラックボックス化しがちなデータ分析のワークフローにおいて、複数モデルを試行錯誤しながら最適解を探るには時間がかかる。「/multi-agent」を使えば、データ前処理のコード生成、特徴量エンジニアリングのアイデア出し、分析レポートのドラフト作成などを複数のエージェントに並行して任せ、Judge LLMが最適な提案を選ぶことができる。
これにより、次のようなメリットが期待される。
- モデルごとの「得意・不得意」を意識せずに済む
- 試行回数を増やしながらも、最終的な確認コストを抑えられる
- 分析プロセスのアイデア出しを自動化しやすい
コーディングとソフトウェア開発の効率化
コーディング用途でも、異なるAIエージェントを組み合わせることで、バグ修正、テストコード自動生成、リファクタリング提案などの精度向上が見込まれる。たとえば、あるモデルは自然言語による説明が得意で、別のモデルは具体的なコード生成が得意といった場合でも、「/multi-agent」を使えば両者の長所をまとめて活用できる。
特に、次のような開発フェーズでの利点が大きいと考えられる。
- 既存コードベースを理解するための要約や解説文の生成
- 複数案の実装パターンを一度に比較したいとき
- 複雑なバグに対し、異なる視点からのデバッグ案を集めたいとき
非エンジニアでも扱いやすいマルチエージェント環境
GitHubリポジトリを必須としない設計は、エンジニアだけでなく、データアナリストやビジネス職のユーザーにとっても導入しやすい。コマンドラインに慣れていれば、資料作成のドラフト、分析メモの生成、簡易なスクリプトの雛形作成など、日常業務の幅広い場面でマルチエージェントを活用できる可能性がある。
AIエージェント活用の広がりと今後の展望
モデル選択の「自動化」が当たり前になる可能性
これまで、ユーザーが用途に応じて「どのAIモデルを使うべきか」を選択するのが一般的だった。しかし、BLACKBOX CLIのように評価専用のLLMが最適なエージェントを自動で選ぶ仕組みが普及すれば、モデル選択そのものがユーザーから隠蔽され、「とにかく最適な答えを返してくれるAIツール」という感覚で活用される時代が近づいていると言える。
マルチエージェント時代の開発ワークフロー
マルチエージェント環境は、今後の開発ワークフローそのものを変える可能性がある。たとえば、要件定義、設計、実装、テスト、ドキュメンテーションといった各工程ごとに最適なエージェントが自動でアサインされ、人間はレビューや意思決定に集中するといったスタイルだ。BLACKBOX CLIのようなCLIツールは、その一端を示す実験的なプラットフォームとしても注目される。
まとめ
BLACKBOX CLIの「/multi-agent」機能は、Blackbox、Claude、Codex、Geminiといった複数のAIエージェントを束ね、Judge LLMが最適な回答を選ぶことで、ユーザーにとっての「モデル選び」の負担を軽減する試みだ。GitHubリポジトリ不要で導入しやすく、データサイエンスからコーディング、日常的な業務支援まで幅広い分野での活用が見込まれる。今後、マルチエージェント環境が一般化すれば、AIとの協働スタイルはさらに大きく変化していきそうだ。



