生成AI検索サービス「Perplexity(パープレキシティ)」が、米国在住ユーザー向けにショッピング機能を無料開放しました。AIが膨大な商品情報を整理し、ユーザーに合った候補を提案する「パーソナライズド・ショッピング体験」がどのようなものか、その特徴と今後の可能性を整理して紹介します。
Perplexityショッピング機能の概要
米国在住ユーザーが無料で利用可能に
Perplexityは、これまで検索・リサーチ特化型の生成AIとして注目されてきましたが、新たに「Shopping in Perplexity」を米国在住ユーザー向けに無料提供すると発表しました。追加料金は不要で、既存のPerplexityアカウントからそのまま利用できる点が特徴です。
「パーソナライズド・ショッピング体験」とは
今回のアップデートのキーワードは「personalized shopping experience(パーソナライズされたショッピング体験)」です。ユーザーが「自宅用の静かなキーボードが欲しい」「予算〇ドルで初心者向けのミラーレスカメラを探している」といった自然な文章で質問すると、AIが要件を解釈し、条件に合う候補を整理して提示します。これにより、従来のECサイトのように多数の検索結果から自分で比較・検証する負担が軽減されることが期待されます。
従来の検索との違い
一般的なオンラインショッピングでは、複数のサイトを行き来しながら価格やスペック、口コミを自分で比較する必要がありました。一方、Perplexityのショッピング機能は、検索、比較、要約をAIが一括して行うため、ユーザーは「何を買うべきか」という意思決定プロセスに集中できます。特に、スペックが複雑な家電やガジェット、PC関連製品などで効果を発揮しやすいと考えられます。
どのような買い物に向いているのか
複雑な条件が絡む「比較検討型」の買い物
PerplexityのAIショッピングが真価を発揮するのは、条件が複数ある買い物です。たとえば、次のような相談内容が想定されます。
- 「リモートワーク用に、静音・広め・1万円前後のキーボードを探している」
- 「大学生向けのノートPCで、レポート作成と軽い動画編集に使えるモデルを予算別に知りたい」
- 「キャンプ初心者におすすめのテントを、設営のしやすさ重視で比較してほしい」
こうした「条件の優先順位」や「使い方のシーン」を含めた要望を自然文で入力できるため、従来のキーワード検索よりも、ユーザーの意図に近い商品提案が期待できます。
情報収集から購入直前までをAIがサポート
Shopping in Perplexityは、あくまで「検索・比較・要約」に強みを持つため、実際の決済は各ECサイトで行う形が基本になります。その一方で、AIがレビューの傾向やメリット・デメリットを要約し、代替案も提示してくれるため、購入直前までの情報収集プロセスを効率化できるのが利点です。
ユーザー体験向上と企業側のメリット
ユーザーにとっては「探す」負担が減り、本当に自分に合う商品にたどり着きやすくなる一方、メーカーやEC事業者にとっては、商品情報の伝え方やレビューの質がAIによる推薦に影響する可能性があります。今後は、単に検索キーワード対策を行うだけでなく、「AIにどう要約されるか」を意識した情報発信が重要になるかもしれません。
日本のユーザー・企業への示唆
日本での展開可能性と備えておきたいこと
現時点では、Shopping in Perplexityは米国在住ユーザー向けの提供とされていますが、サービスが成功すれば、他地域への展開が検討される可能性があります。日本のユーザーにとっては、英語版を試しながら「AIが関与する買い物の形」を早めに体験しておくことが、将来のサービス拡大時に役立つかもしれません。
EC事業者・メーカーが今からできる準備
EC事業者やメーカーにとっては、AIが正確に商品の特徴を理解し、ユーザーに適切に伝えられるよう、公式サイトや商品ページの情報設計を見直すことが重要になります。具体的には、次のようなポイントが考えられます。
- スペックだけでなく「どんな人・どんな用途に向いているか」を明記する
- 長文レビューの要点がAIに伝わりやすいよう、見出しや箇条書きを活用する
- 最新情報や仕様変更を公式に分かりやすく更新・公開する
こうした工夫は、AI時代の「検索され方」「推薦され方」に直結する可能性があり、中長期的な競争力にも影響しうる視点です。
まとめ
Shopping in Perplexityは、生成AIを活用して商品選びのプロセスを大幅に効率化しようとする取り組みであり、まずは米国ユーザー向けに無料提供が始まりました。ユーザー側は「探す」負担の軽減、企業側は「AIにどう理解・要約されるか」を前提とした情報設計が重要になるなど、オンラインショッピングの在り方そのものが変わる可能性があります。今後、日本を含む他地域への展開や、EC各社との連携がどのように進むのか注目されます。




