Anthropicの生成AI「Claude」がMicrosoft 365 Copilotの新機能として利用可能になりました。ExcelのAgent Modeでは、プレビュー段階ながらClaudeを選択でき、スプレッドシートの作成や編集をExcel上で直接自動化・支援します。
発表の概要
Microsoft 365 CopilotにClaudeが選択肢として追加
Microsoft 365 Copilotの新機能として、ExcelのAgent ModeでClaudeを使えるオプションがプレビュー提供されました。自然言語で「売上データから月次レポートを作って」「この列を基に新しい指標を追加して」などと指示すると、表の作成・列や行の追加、書式や関数の適用といった操作をExcel上で直接実行できます。
ExcelのAgent Modeとは
Agent Modeは、ユーザーの意図に沿って複数のステップをまたぐタスクを継続的に支援するモードです。タスクの文脈を保ちながら、表の構築から編集、確認、再修正といった反復的な作業をまとめてアシストすることを目指しています。
提供段階と入手性
本機能は現時点でプレビュー提供です。利用可能な環境や対象は段階的に拡大・更新される可能性があります。詳細は公式アナウンスをご確認ください（参考：発表リンク）。
主な活用シナリオ
データ整形とクレンジング
不揃いなデータの整形や前処理を自然言語で依頼できます。作業手順の提案と実行を往復しながら、必要に応じてやり直しや微調整も可能です。
- 欠損値処理や外れ値対応の案出し
- 列の分割・結合、データ型の統一
- 重複レコードの検出・整理
関数・式の生成と検証
目的を伝えるだけで、必要な関数や式の候補を生成し、動作確認や説明まで行えます。式の可読性向上や代替案の比較にも役立ちます。
- 集計・抽出・参照関数の提案と説明
- セル参照の誤り検出や修正提案
- 可読性を高めるリファクタリング
可視化とレポート草案
データの特徴に応じたグラフ種類の提案や、見出し・注釈の付与、レポートのひな型作成を支援します。反復的な微修正も会話で進められます。
反復的な編集と説明責任
「なぜその操作を行ったのか」「別案はあるか」といった問いかけに対して、意図の説明や代替手順の提示を求められるため、業務プロセスの透明性を高めやすくなります。
メリットと留意点
メリット：モデル選択の柔軟性
ExcelのAgent ModeでClaudeを選べることで、タスクやデータ特性に応じたAI利用の幅が広がります。自然言語理解に強みを持つモデルを表作成・編集に活用できる点は、作業効率と品質の双方に寄与します。
セキュリティとガバナンスの確認
企業データを扱う場合は、組織ポリシーやコンプライアンス要件に沿った運用設計が不可欠です。プレビュー段階では仕様や制約が変わる可能性があるため、運用前に最新の条件を必ず確認しましょう。
導入時のチェックリスト
小規模トライアルから始め、効果とリスクを見極めながら段階的に拡大するのが安全です。以下の観点を参考に導入準備を進めましょう。
- プレビュー提供範囲・前提条件の確認
- 機密データ取り扱いルールとマスキング方針
- 検証用データセットでの再現性・品質確認
- ログ取得・レビュー体制（監査・説明責任）
- 代替手段との比較（精度・速度・運用負荷）
まとめ
ClaudeがMicrosoft 365 CopilotのExcel・Agent Modeで利用可能になったことで、表作成から編集、検証までを自然言語で一気通貫に進める選択肢が加わりました。現時点ではプレビューのため、適用範囲を見極めつつ、小さく試し、効果を定量的に評価するアプローチが有効です。正式提供の拡大や機能強化の動向に注目が集まりそうです。
