生成AI検索のPerplexityは、特許検索に特化した新機能「Perplexity Patents」を発表した。自社の「引用ファースト」アプローチを特許領域に拡張し、複雑なキーワードやブール演算を使わずに、自然文の質問だけで関連する特許や重要文献を見つけられるとしている。
概要
発表のポイント
Perplexityは、検索結果の根拠となる出典提示を重視する「引用ファースト」の強みを特許検索にも適用。ユーザーは「◯◯の分野に特許はある?」といった問いかけで調査を始められる。複数の資料を横断しながら関連性の高い特許を素早く提示できる点が狙いだ。
「引用ファースト」とは何か
Perplexityの「引用ファースト」は、回答に必ず根拠となる情報源(引用)を添える設計思想を指す。これを特許検索に拡張することで、検索結果の裏付けとなる特許文献や関連資料にすぐアクセスでき、調査の再現性や信頼性を担保しやすくする。
仕組みと主な特徴
自然文で質問すれば特許を探せる
キーワードの組み合わせや演算子を最適化する必要はない。例えば、「Are there any patents on AI for language learning?(語学学習向けAIに関する特許はある?)」のように尋ねるだけで、関連する出願・特許を起点に調査を進められる。
引用ネットワークで重要文献を素早く把握
特許は相互に引用関係を持つ。引用や被引用のつながりを手がかりに、基盤的な先行技術や影響力の大きい特許へ短時間で到達しやすくなる。網羅的な探索の入り口として、探索の方向性を素早く定めるのに適している。
従来のキーワード・分類コード検索との違い
従来は適切なキーワード設計や分類コードの理解が不可欠で、見落としやノイズの多さが課題だった。自然文質問と引用重視の提示により、非専門家でも「まず全体像をつかむ」段階に素早く到達しやすいのが特徴だ。
活用シーンと使い始め方
企画初期の先行技術リサーチ
新規事業や研究テーマの立ち上げ時に、関連領域の特許地図を素早く描くことができる。重要な出願を起点に、関連する技術の広がりや空白領域の仮説づくりを効率化する。
競合・市場理解の起点づくり
どの企業や研究機関が当該分野で活発に出願しているのか、どの技術が引用を集めているのかを把握しやすく、競合分析やトレンド把握の入口として有効だ。
すぐに試せる質問例
具体的には、「Are there any patents on AI for language learning?」のように英語でそのまま質問すれば、関連する特許を手がかりに調査が始められる。専門用語に自信がない段階でも探索に着手できる点がメリットだ。
利用時の注意点
初期調査の効率化に有用だが、重要な意思決定に際しては複数ソースでの検証や専門家の意見が欠かせない。特許の解釈や権利範囲の判断は法的な検討を要するため、必要に応じて専門家と連携しよう。
- 自然文で全体像を把握 → 詳細は原典で精読
- 結果の更新日やカバレッジを確認し、追加調査を実施
- 法的判断・出願戦略は弁理士・弁護士など専門家に相談
総括と次の一歩
まとめ
Perplexity Patentsは、引用に根ざした検索体験を特許領域に持ち込み、非専門家でも自然文から先行技術の大枠を素早く掴めるようにする。キーワード最適化に費やしていた時間を、仮説構築や意思決定に振り向けられる点が価値だ。
今後の展望
自然文検索と引用ネットワークの組み合わせは、特許調査の敷居を下げる有望なアプローチだ。今後は分野横断の知見統合や、チームでのリサーチワークフローへの組み込みが進めば、先行技術調査のスピードと品質向上がさらに期待できる。





